これで3回目。
仕事を終え、ベリコモンズで待ち合わせてワタリウム美術館*1で開催中の『流しの写真家 渡辺克巳 写真展 1965-2005』へ。
昭和40年ごろから30年間、新宿に生きる人々と街を撮り続けてきた写真家の膨大な数のポートレイト。
はじめは"光男さん*2"の写真をみて「あっ!怒髪の増子さんが酔っぱらった顔にそっくりー」とか言いながら笑っていたのだが、どんどん進むにつれ無言になる。
何人かの被写体のインタビューを読み、さらに無言。小説の中の話のような人生がそこにあった。
新宿 1965‐97―娼婦、ヤクザ、オカマ、ヌード嬢…彼らが「流しの写真屋」の客だった (フォト・ミュゼ)
- 作者: 渡辺克巳
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/11
- メディア: ペーパーバック
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この写真集のを出版したときに、息子へ残した言葉が忘れられない。
春吉君、世の中に悪い人はいません。悲しい人がいるだけです。春吉が大きくなってから考えてください。
次郎君、父ちゃんが32年かかって作った本です。困難がきたとき開けてみると何かヒントがあるかもしれないよ。
生前、渡辺氏は『街に溶け込んだ、風景になったような…人物を撮りたいんだよ』と言っていたらしい。
歌舞伎町の人々だけでなく、東口の喧噪や高層ビルのない西新宿の景色もとても貴重な記録だと思う。
美しいもの、かわいいものからは得られない"何か大切なもの"を感じることができる。
初個展「初覗夜大伏魔殿」を再現したエリアや、3階からみるワタリの空間ならではの展示方法も見どころ。